彼方のアストラスタッフトークショーイベント
「スタッフ班キャンプ日誌」に参加してきました!
去年参加した似たような某あそびあそばせのイベントはオフレコ話ばっかで
誰が登壇したかさえ記憶を抹消させられたのですが
今回は特にそういうのはないようなので覚え書きとしてですがこんなこと言ってたな-てのを書きたいと思います
このシーンの演出意図はこうであるみたいな話も結構あったのですがそれよりは現場で制作中こんなエピソードがあった
という話を中心に書いていきます。
本当に覚え書きなので順番もテキトーで発言者も適当なのでちゃんとしたイベントレポ-トではないですが
この作品のバックグラウンドのドラマの面白さが少しでも伝われば嬉しいです!
登壇者
安藤正臣(監督)
柴田裕介(助監督)
海法紀光(シリーズ構成)
黒澤桂子(キャラクターデザイン)
比嘉勇二(アニメーションプロデューサー)
キャラ紹介...紹介とともに各キャラクターや声優さんに関するエピソードを振り返る
キトリー役の黒沢ともよさんについて
毎回演出の意図したものと全く違う角度から攻めてくる(いい意味で)演出殺し
演技の凄まじさに音響監督が「まじか...」と崩れ落ちたらしい
ルカについて
ルカの胸の描写は6話までは意図的に抑えてる 原画の人がそれを描いてくるので削るのが大変だったby黒澤さん
それ以降は黒澤さんの気分で女の子っぽいシーンでは描いてる
ウルガ-役の内山さんについて
役にハマってた 本人がウルガーみたいなかっこよさがある
現場で早見沙織さんの誕生日をサプライズで祝うことがあったとき黒沢ともよが大暴れして準備してる中
内山さんはずっと台本読んで練習してた。そんで早見さんが登場した瞬間立ち上がり祝ってまたすぐ戻ったらしい。
さらざんまいと役が被ったのは完全な偶然 見て驚いた 内山さんはああ言うキャラが向いている
フニ役の木野さん
一番安定感があった 泣き演技や7年後もすごかった。
ユンファ役の早見沙織さん
4話までは作画も意図的にブサイク気味に描いてる。
演技も同様だが早見さんの演技が美人オーラを出しすぎてるのでリテイクが入った。
歌はどちらも絵コンテが先で尺に合わせて曲を作るという形式だった。
歌の収録に行ったけど一番最初の練習から完璧だった。それが練習を重ねるとさらに完璧になる。すごい。
カナタ役の細谷さん
他のキャストはみんな原作を読んでる中細谷さんだけあえて原作未読で挑んだ。
そのためアフレコ現場ではネタバレ防止でスタッフが気を遣う謎の状態に
(他のインタビューで言及されてる通り)今作はオーディションを行っていない
みんな脳内で誰の声で読んでた?と聞き各々好き勝手言うスタイルのキャスティング会議だった。
監督やプロデューサーの過去作の声優が多め
→限られたアフレコの時間の中で上手いものが録れないと台無しになってしまう
そのためにはこの人にこういうのを振ればこういうのが返ってくるというのが分かってたほうがいい
なので今作はそういうキャスティングにした。(やや要約)
親のキャスティングは「今作が10年前ならこのキャスティングだった」的コンセプトが入ってる
7話のシャルスの「どうしてまた家族が」はもともとカット予定だったがアフレコ時に島崎信長さんが
「このセリフは絶対必要!」と訴えてとりあえず収録だけすることに
その期待に答えて色々ありなんとか復活させた
スーツのデザインは原作ママだと全身タイツみたいになってしまいかっこ悪いので首周りに改良を加えた
(それに関連して)見る人を選ぶ作品にしたくなかったのでスーツのデザインのエロさを抑えてるし
乳揺れ的表現は意図的にあんま入れてない。
ユンファのデザインがムチムチしすぎていると監督がリテイク出したが黒澤さんが描きたいからという理由でそのままになった。
OPEDについて
OPED両方カットすると尺が3分増える だからって予算は増えない そして現場の負担は上がる
なので現場としては決してやりたいわけではない けど面白さ重視で頑張った
監督「OPEDのアーティストさんには本当に申し訳ない 打ち上げで刺されるかも」
構成について
最初は全13話のつもりだった。契約書も全13話で正式に結んでいる。
しかし9話くらいまで本読みが進んだところで「これ収まらなくね…?」となった
半分冗談で(?)最終回も1時間にできないかと言ったらKADOKAWAの田中Pからできますよと言われ
追加で1話分の契約書を取ってきてそんなのできるの!?ってなった 田中さんだからできるのかも
そのタイミングが結構後だったので現場は地獄 最終回はラルケ史上最もやばいスケジュールになった
ちなみに最終回1時間にならなかったらエピローグは幽遊白書メソッドで
ウルガーが後日談をこんなことがあったと駆け足で語るエンドになってたかも
本読みで後日談を広げたいという話が出ていくつかエピソードを追加した
ちなみに最初に海法さんに「とりあえず尺を考えないで構成案出してください」と言ったら全18話になった
「それはそうと全13話で構成よろしくおねがいします」と無茶振りされる
アニメ化の話が出たのは4巻発売の1ヶ月前くらいだった 当時は刺客もわからない状態
アニメのオンエアは色々あって前倒しになったらしい
アニメ化進行中に漫画大賞受賞したので驚いた いろいろできすぎてる
最終回放送のタイミングでアド・アストラが上映されるのもできすぎてる!
最終回放送直前にSFで燃えたのも含めて全部陰謀なのでは
1話は本読みの段階で1時間スペシャルが決まってたのでそれ前提の構成
1話でこの作品の目的を示したいというところから手つなぎのシーンが生まれた
原作ママだと帰還方法を全部アリエスが考えたことになってしまうので”みんなで”がほしかった
(このへんから記事を書いてる最中に本編見ながら話を思い出してるので話した順番はバラバラだけど語られた話)
ヘルメット同士を接触させて会話するのはガンダムのオマージュ
手つなぎは脚本からあったがカナタに手を伸ばすのがシャルス(11話で活きてくる)なのは絵コンテで追加
宇宙の色は地球近くが黒 アストラに近づくほどに青くなる その他話によって色々変えてる
監督「宇宙の色をピンクにしたいんですけど」P「頭おかしくなったかと思った」
黒澤さんが描くとき大変だったのは
アリエス「常にかわいく描くのを意識しなきゃいけない」
シャルス「常にかっこよく描くのを意識しなきゃいけない」
逆にフニは描きやすかった「意識せずとも可愛くなる」
キトリーの髪型は難しい
ヘルメット装着時にキトリーの髪がどうなるかについて黒澤さんがめちゃくちゃこだわった
デザイン変更案もあったが黒澤さんが会議に乗り込んで「こういうギミックで収納するんです!」と力説
収納シーンは黒澤さんが自分で原画も描いてるらしい この人しか描けないから
アリエスの笑い声は通常Verと原作Verの両方収録した
原作Ver収録すると言ったら水瀬いのりさんに困惑されたけど無茶振りに答えてくれた
そのタイミングで島崎信長さんが俺もやることになるんだなと察したらしい
効果音や宇宙の音は音響効果奥田さんのこだわりがすごい
音響現場で奥田さんとSF談義が始まる これはどういう原理でこうなってるんだって話が延々続くめんどくさい人
その話の結果によって音付けがされる
奥田さんが色々仕込んだネタを音響監督飯田さんが却下する流れがお約束 それが面白い
OP映像は松根さんが原作を読んで仕上げてくれたけどそのせいでアニメでカットされたけんけんぱのシーンが入ってる
松根さんはアニメでそのシーンがカットされてることを知らなかったので申し訳ないことをした(笑)
ラルケの作品ロゴは作品によって色が変わる 会社のロゴじゃないから好き勝手できる
6話の回想シーンに警部が映ってるのは監督案で1週間前に追加になった
11話でシャルスの後ろに柱みたいのを置いたり断崖絶壁にいたりするのは演出意図がある
監督「そんな感じでオブジェクトをみんな舞台装置にしたい」
12話のスケジュールは戦後最大にやばかった リテイクする箇所も大量にあるし飛んだカットもある
12話のニュースのテキストは海法さんが無茶振りされ1週間で考えた ユーザー名は全部SF作家が元ネタらしい
ED原画を担当されてた方が篠原先生の大ファンでネタを大量に仕込んでくる
同じ現場で仕事してるのになぜかその人からファンレターが送られてきた
EDの写真は撮影者が誰なのかを全部意識している。
ED担当してる安月名莉子さんが登場
EDの弾き語りを披露 素晴らしかった
監督「そのギターで俺を殴ってくれ」
監督が謝罪して安月名さんが困惑する流れを5回くらい繰り返してた気がする
他にも参考にした映画の話とかめちゃくちゃ色々話してたけどこうやって書き出してみると
話の内容の3割も書けないなー イベントレポートって難しい
今回イベントに参加して彼方のアストラが監督、脚本、プロデューサー、総作監
さらに各話演出、作画を始めとした数多くのスタッフの強いこだわりによって実現された素晴らしい作品である
と改めて認識することができました。あそびあそばせのイベントでも思ったのですが特に黒澤桂子さんがすごくタフな方なんですよね。
全話全カットの作画について統括してこの作品の画面水準の高さを保ってる。アストラの作画綺麗だねー!となったとき一番の功労者は
間違いなく黒澤さんだと思います。本当にこの人はすごい。次回作も期待したいです。
今回のイベントは本当に楽しかったです。自分の楽しんだ作品についてスタッフが3時間ひたすら作品の裏話を語る、
こんな楽しいことは他にないですよ。ロフトイベントという形式にこだわりはないですがこういうイベントは積極的に開催してほしいですね!