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「キンプリ」の続きの物語が作られるために必要なことと菱田正和監督の想い

2017.06.18 Sun

この記事は「KING OF PRISM -PRIDE the HERO-」の視聴を前提としています


先日開催された『劇場版「KING OF PRISM -PRIDE the HERO-」プリズムエリートの二次会』で番組の最後に菱田正和監督から爆弾発言とも言える発言がありました。



この発言から菱田監督が考えている「キンプリ」というのコンテンツのこれまでと現状と未来について考えていきたいと思います。

※以下の内容はスタッフの発言をベースとした完全な個人的見解です。

KING OF PRISMシリーズの目的

まずKING OF PRISMシリーズが何故制作されたかについてから考えていきます。これについては過去のスタッフの発言にあるとおり「プリティーリズムとはこんなにも面白い作品なんだってことを世間に知ってもらう」ということだと思います。つまりもともと知名度が高いとはいえなかったプリティーリズムシリーズを世間にもっと知ってもらいたいという一心で作られた作品が「キンプリ」なわけです。
これを実現するために菱田監督は「キンプリ2部作構想」を考えました。この構想は物語の中身とは別に存在する作品のコンセプトです。
まず1作目「KING OF PRISM by PrettyRhythm」ではプリズムショーの面白さに絞った作品制作が行われました。この作品の目的は知らない人でもプリズムショーを好きになってもらうということで知らない人でも見終わったらプリズムショーはなんて素晴らしいんだ!となれる、そんな作品です。なので物語も第1話的作りでプリティーリズムを知らない人でも気軽に見れるような作りになっています。一方で過去のプリティーリズムシリーズの要であった物語の要素はオミットされている部分が多くプリティーリズムシリーズとはまた少し違うプリズムショーエンターテイメント作品というような側面があります。

そして2作目「キンプラ」では前作でオミットされたプリティーリズムの要素の多くを復活させました。これは1作目がプリズムショーの面白さに焦点を当てたのに対して2作目はプリティーリズムの物語の面白さに焦点を当ててることを意味します。もちろんプリズムショー自体は大きくパワーアップしていますが前作比でストーリー要素が大幅に強化されているので短い尺ながらもプリティーリズムの要素がぎゅっと凝縮された作品となりました。これにより1作目で入ってきてプリズムショー面白い!となった人にもストーリーの面白さをより知ってもらいたいというのが目的です。

応援上映について

「キンプリ」では応援上映に特化した作品制作が行われました。「キンプリ」は応援上映で見ることを前提としてるシーンが数多く存在していて作品を全く知らない人でも作品自体をアトラクションとして楽しめるように作られています。これがうまい具合にバズってくれたことで結果として世間でのプリズムショーの認知度はぐっと上がり「キンプリ」は作品的にも成功し続編制作へと繋がりました。コレ自体は大成功と言っていいでしょう。
一方で世間で「キンプリ=応援上映の作品」というような印象が出来てしまったのも事実です。理想としては作品がまずあってその先に応援上映があるという形なのですが応援上映が前に出すぎてしまった感じはあります。このイメージは「キンプリ」のような作品ならいいですが重いストーリーが増えていけば行くほどに邪魔になっていきます。


菱田監督がやりたいこと

二次会のコメントで監督は「キンプラ」の先を描くならとてもヘビーでハードな物語が待っていることを示唆しています。これは同時に「キンプラ」の先にある作品を制作するならまず応援上映ありきの風潮からの脱却をしなくてはいけないことを意味しています。監督がほんとうに作りたいのはTVアニメ「プリティーリズム」シリーズのように毎回毎回の積み重ねが大きい連続した物語のある作品であって応援上映で盛り上がる60分くらいの作品ではないということです。前作がああいうバズり方をした時点で菱田監督は「そういう作品」しか作らせてもらえなくなることに対してある種の警戒感があったんじゃないかと思います。なので「キンプラ」は前作でバズった要素を残しつつも応援上映をあまり意識せず物語の面白さを最重要視した作りとなっています。こうすることで世間の風潮が「キンプラ=応援上映とか関係なく面白い作品」となることで今後自分の本当に作りたい作品が作れるだけの土壌が形成できるからです。

作品の媒体と尺について

「キンプラ」は「キンプリ」の世間での受け入れられ方ありきで続編制作が決まったのでエイベックスから与えられた条件は「60分で作れ」でした。これは予算とかスケジュール以上に応援上映を前提に考えた場合2時間だと長過ぎるということありきなのではないかと思います。これはプリティーリズムのような壮大な物語を作るには到底難しい尺で、結果として尺は69分になり監督はその分密度がすごく無駄なものがない作品になったと言っていますが本当はもっと「キンプリ」完結編で描きたい内容はもっと多かったはずだと思います。しかしその尺の中でもなんとか物語を描ききるということに成功しました。これはひとえに菱田監督の天才性によるものだと思います。しかしそれと同時に「本当はもっと長い尺で物語を描きたいんだよ!!」という心の叫びも感じ取れました。
つまり「キンプラ」の続きの物語を描く作品は60分尺の劇場作品じゃダメなんだということです。菱田監督が描きたい次世代組の物語は到底そんな尺で入るようなものじゃないし応援上映ありきの作りでもないということです。なので「監督が本当にやりたい続編」のためには前作のような応援上映でバズるような受け入れられ方じゃダメでもっと物語方面でフューチャーされなくてはいけないのです。

結論

「キンプラ」がストーリーがめっちゃ面白い、ふざけてない真剣な作品だという風潮が確立されればそれが企画の決定権をもつ偉い人にもつたわり60分劇場作品以外の媒体での続編企画が通る可能性がぐっと上がるのではないかと思います。「キンプリ」のときは1人でも多くにこの作品を知ってもらう、そのことがコンテンツを未来へと繋げる一番大事なことでした。そうしないと当然次の企画が通らないからです。一方で「キンプラ」は現時点で一定の興行収入を記録しています。エイベックスがどの程度の興行収入を想定しているかわかりませんが今我々が一番しなくてはいけないことは認知度を上げてくことより「応援上映ありきという風潮からの完全脱却」なのではないでしょうか。それが本当の続編制作のために一番大事だということが監督の発言でわかったからです。応援上映に行くなということでもないのですが客入りが通常>応援となればエイベックス側の認識も変わると思います。前作と同じ状況にあるわけではないんだということを念頭に置いて立ち回ることが必要だと思います。
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No title

興味深く読ませてもらいました。
だいたいの趣旨は理解できましたが正直読んでいて感じたのは「キンプラの現状を楽観視しすぎている」ということです。

キンプラの興業収入が現時点で一定の記録をしているのは事実ですが、1億を超えた後は観客動員数しか発表していない辺り想定からだいぶ下がっているのではないかと思われます。
バルト9などの有名劇場以外では客席が埋まっていないという報告もぼちぼちあり、正直このままではキンプリと同じような上映打ちきりの危機が迫るのではないかと不安です。
前作の半分も興業収入がいかなければ菱田監督の本当に作りたい続編も応援上映からの脱却もはっきり言って「机上の空論」になってしまう。
そういった状況で応援上映の盛り上がりに冷や水を浴びせるのは悪手でしかないと思います。

気持ちはよくわかりますがこのエントリのような論調は、少なくとも興業収入が前作の半分である4億を超えるまでは控えたほうが賢明だと感じました。
EMX8otDw | | URL | 2017.06.19(Mon) 02:49:27 | [EDIT] | top↑ |

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