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『グランベルム』を”面白いけどダメなオリジナルアニメ”だと思ってしまった話

2019.08.05 Mon
2019年夏放送のアニメ作品の中に「グランベルム」というオリジナル作品があります。

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この作品は
リゼロやわかばガールの渡邊政治監督
ラブライブ!などでおなじみ花田十輝先生
こみっくがーるずや落第騎士などで素晴らしい仕事をしていたNexus
など素晴らしいクリエイターのたちが集まって作られるオリジナルアニメということで私は放送前からかなり期待していて先行上映にも行きました。

第5話まで放送された今、私がこの作品への現在の評価は、”それなりに面白い”といったところで、毎回楽しめてはいるんですけど同時に”この作品、オリジナルアニメとしてはダメだな…”ということも話数を重ねる事に思うようになってきました。
(一応書いておくと面白いということもダメということもどちらも個人の感想の範疇です)

今回は自分の中でなぜそうなってるかということについて少し書きたいと思います。


まず私のことについて書いておくと、私は所謂ロボットアニメと呼ばれるジャンルの作品をほとんど視聴したことのない人間です。なのでここに書いていることはもしかしたら”ロボットアニメならそんなの当たり前だろ”というようなことも書いているかもしれませんが、この作品の永谷プロデューサーはそういったジャンルのファンでない若い世代にこそ見てほしいという考えのようですので、ロボットアニメに詳しくない人にはそう見えるんだなという感じで読んでいただけると幸いです。

この作品の面白さについてのプレゼンテーションはこの記事が良かったのでよければこちらの記事もご参照ください。

美少女バトルロワイヤルに新たな風を吹き込む快作グランベルム・承認欲求が戦いの動機になりえる現代

この記事で深く言及されてない点についてを書かせていただくとやはりこの作品、映像制作に携わっている少数精鋭のスタッフがとても上手い方ばかりなだけあって映像の見ごたえがとにかく素晴らしいです。 特に最新話である5話なんかは尺の大半が戦闘パートなのですが、手描き作画で非常に見応えのある戦闘がドラマとともに続いていて昨今他の作品じゃなかなか見れないプレミアムな映像になっています。

ちなみに第5話の絵コンテ・演出を担当されているのは徳本善信さん。最近だと『こみっくがーるず』の監督を担当されていた方ですが、シリーズを通してローテーション演出に参加していた『プリティーリズム・オーロラドリーム』や『落第騎士の英雄譚』の視聴者の方は、徳本さんの担当回を調べてみると、あっこの人すげー優秀だわってなると思います。そんな演出チームの能力の高さとNexusの素晴らしい作画チームによってこの作品は作られています。
5話なんてあれだけ動いてて原画5人だけですよ! 個人的には3話から連続で原画に参加している大久保政雄さんはジュエルペットシリーズやプリパラの歴代OP映像演出なんかも担当されていた”推し”アニメーターで、大久保さんが作画されているメカやエフェクト作画が見れるのも楽しいです。
ちなみにメカデザインを担当されているジミー・ストーンさんがTwitterで原画の担当パートや設定などかなり細かい情報を投下してくださっているのでそれも合わせて読むとさらにこの作品を楽しめると思います。



さて、どちらかというと本題であるこの作品が”ダメなオリジナルアニメ”だなと思ってしまった理由ですが、一言で表現すると
情報量過多
があるのではないかと思います。

公式サイトを基準とするとこの作品のメインキャラと呼べるキャラクターの人数は7人、それに加えて準メインキャラクターが6人であると言えます。
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この人数は決して多すぎるわけではありません。準メインキャラクターもほぼ毎回出てくるので実質的に13人のメインキャラ、多い方ではあるのは確かですが人数自体はそこまで問題がない。そしてメインキャラ7人にはそれぞれ対応した「アルマノクス」というSDメカが存在します。この作品でそれなりの尺を占める戦闘パートを見る際はキャラクターと対応するアルマノクスを紐付けた上で覚えないことには話になりません。

例えば、満月の場合小日向満月というキャラ、ホワイトリリーというメカそれぞれ名前と外見を頭に入れた上で満月はホワイトリリー乗っているということを覚えるという行為が必要で、さらにこれが7人分必要となります。(まあ1話で退場したやつもいるけどさ…)まずこの構造が作品の情報量過多を生み出している理由の1つなのではないかと思います。作品を見てストーリーも追いかけてキャラクターを理解しながらこれを覚えるってのは結構難しいと僕は思います。そしてそこの理解が曖昧になると戦闘パートで何が起こってるんだということの把握が難しくなってよくわかんねえなあこの作品といった感想を持つこともあります。パブリックサーチしても実際そんな感じになってる人は珍しくない印象です。

そして各アルマノクスも設定が多すぎる。魔技とか武装とか…まあこのへんは覚えてなくともどうにでもなりますが結局戦闘パートの「ごちゃごちゃした感じ」を増してしまってる印象です。

多いメインキャラクターをうまく扱う方法の1つとして最初のキャラ数を絞った上で1人ずつ掘り下げてメインキャラを増やしていくというメソッドがあります。これで有名なのがラブライブ!ですよね。9人いるメインキャラクターを魅せるために1話から全員の出番を作る、けど1話~3話は2年生の3人にスポットライトを当てて物語進行して4話~8話くらいまでの間に1話つき1人or2人ずつ集中的に掘って行って最終的に9人揃う。このメソッドの何が嬉しいって視聴者はストーリーを追いながら非常に余力を持ってキャラクターを覚え、理解することが出来ることにあります。1話の時点で3年生組を覚えてなくても別によくて、掘り下げ回で覚えれればストーリーを見る上で全く問題ないのがいいところです。

グランベルムはそのメソッドとは真逆です。1話の戦闘は意図的に理解できないものにしていたとして、満月の内面掘り下げを結構集中的に行った2話のあと、3話~5話までは13人のキャラクターが満遍なく少しずつ掘られていくけど集中的な掘り下げは行われていない。(少なくとも今回○○回だったなとはならない)そしてキャラクターが頭に入りきっていない状況で行われる戦闘パートは6人のキャラクターとアルマノクスの対応、そして準メインキャラについてが頭に入ってないとイマイチ理解ができず頭に?マークが浮かぶ場面が多々ある。そう、つまり詰め込みすぎなんです。

バトルロイヤル、かつ1クールという作品の性質上ラブライブ!メソッドで物語を展開していくの適切でないというのは分かっていますし別にラブライブ!みたいにしろと言ってるわけでは全くありません。キャラの個別回をやれということでもないのですがやらないならやらないなりにどの程度の人数のメインキャラクターを物語に組み込み、どのようなプロセスでそれぞれ掘り下げるのかというのはしっかり視聴者の目線で考えていかなければいけないと思います。この情報過多な状況はオリジナルアニメとしてはいいことではないのです。公式サイトには情報が充実してますしそれを見ればある程度理解はできる、けどそんなことする人現実的な話そんないないししたから面白くなるかといっても微妙。本編の物語の中でそれをしっかり理解できなければいけない。そしてそれができてない作品ってのはあんま面白くないとなり自然と視聴者も離れていってしまう。

この情報量過多な状況は視聴者を迷子状態にしてしまいます。特に戦闘パートで顕著ですが現実世界パートでの描写、掘り下げが大きく不足している状態で戦闘パートを見せられてもいまいち感じるものがない。そもそも何が起こっているのかすらよくわからない。画面で盛り上がってるけど見る側の盛り上がりがそれに追いつけないとなるのです。

このモヤモヤする感覚をうまく文章表現できないのですが要するにこの作品はキャラクターや構成要素などが多すぎてそれをうまく処理できてないと感じるんです。そしてこれは僕はオリジナルアニメにおいては最もダメなことであると思っています。

渡邊政治監督のリゼロや花田十輝先生脚本の宇宙よりも遠い場所など、今作と共通のメインスタッフによるヒット作を担当しているプロデューサーにKADOKAWAの田中翔さんという人がいます。この人は以前このようなことを語っていました。

田中 自分は、監督や花田さんに「よろしく!」とお願いして、作ってもらっているだけなので、勝手にできあがってきた感じです!

いしづか もうちょっと参加した感じを出しましょうよ(笑)。

田中 あはは(笑)。風呂敷を広げすぎないことと、地に足をつけたものにしましょうということは終始言っていたはずです。何もかもを0から作るオリジナルでは、ついつい「あれも入れよう、これも入れよう」という感じになって、デコレーションし過ぎてしまうので。

いしづか そうそう。なるんですよね〜。

田中 デコレーションしないと不安な気持ちも分かるのですが、それで本来、見せたいものが見えなくなってしまっては元も子もないので、シンプルイズベストの気持ちを忘れずに、「上手くバランスを取りたい」という話を常にしていました。


田中:(略)
 今お話したような部分はスタジオごとにカラーがあって、「こんなアニメがつくりたい」という志向も、「将来は何々になりたい」みたいな各人の目的もまちまちです。そうしたスタジオの特色にマッチしていて、スタッフみんながやりたいであろう企画を提示するのも我々の仕事の一部です。ただ、それがいきすぎると、「つくっている側は楽しいけれど、ユーザーはまったく興味ないよね」というものをたまにつくってしまうこともあるのですが(苦笑)。

吉澤:作品がまわりからどう見えているかを考えるのも、僕らの大事な仕事ですよね。ユーザーに見てもらうためにつくっているわけですから、その視点で見て100パーセント違うと思ったときには全力でとめなければいけない――。

田中:才能にあふれたスーパークリエイターほど、自分の人生の満足度のためにつくることになりがちですから、その辺りのバランスはなかなか難しいですよね。個人的には、自分以外の大勢の人間が見たときにどう思うのかを考えなくなったフィルムは駄目だと思っています。

私はこれらの田中プロデューサーの発言がなぜ、グランベルムがダメなのかをすべて言い表しているような気がしてなりません。
スタッフが様々な情熱を持って作品につぎ込むオリジナルアニメはどうしても要素が多くなりすぎてしまう。けどその気持ちをこらえて要素を抑えて、その少ない要素を磨きに磨くことが、良い作品へとつながるのではないかと。

私が具体的にこの作品の何を間引けば更にいい作品になるとかそのような指摘をする気は毛頭ないです。しかしこのような観点から作品を俯瞰できる人の不在がこのようなオリジナルアニメを生み出してしまうのではないかな、と思います。監督も脚本も作画スタッフもその他も、現場のクリエイターは誰しもが本気で面白い作品を作ろうと命を懸けて全力でオリジナルアニメを作っています。その熱のベクトルが変な向きへと向かわず、その熱量がしっかり視聴者に届く方向へとコントロールするというのが、クリエイティブな観点から見たプロデュースの人の仕事なのではないかと私は思います。

グランベルムは全13話のうち5話の放送を終えたばかりです。まだ8話の放送を残しています。その中で今後世間的に見ても、個人的に見ても作品の評価が大きく変わる可能性は残しています。昨今では11話で確変したとかそんなオリジナルアニメも珍しくないですから。現時点では残念な点もありますが、最初に書いたとおり僕は今現在この作品をかなり楽しんでますし、僕も今後この作品がどのような方向へと向かっていくのかとても楽しみです!

参考文献
デフォルメロボを通じて描かれる少女たちの熱いバトルとドラマに注目! 今夏話題の新作アニメ「グランベルム」永谷敬之Pインタビュー!

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読んで思ったこと

覚えるのはメインキャラ(-1)で大丈夫だと思いますよ
言い方は悪いですけどサブキャラは今のところ基本的にメインキャラの飾りでしかないので正直名前は覚えてないです。
髪の色とかで直感的にコイツはコイツの妹(姉)だ!ってわかるので記号的で大丈夫だと思います
ロボットもそれぞれ特徴のある形をしてるのでわかりやすいですよ
コレでダメならFateとかもダメなんですかね?
- | イーフン | URL | 2019.08.06(Tue) 11:58:43 | [EDIT] | top↑ |

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